大学時代に初めて野島稔先生のリサイタルを聴き、忘れることの出来ない衝撃を受けました。「いったいピアノには何万種類の音色があるのだろう⁉︎」と思ったことを覚えています。数えきれないほど多くの色彩豊かな音色の組み合わせが、完璧にコントロールされることによって織りなされる美しさは、奇跡としか言いようのない世界でした。当時私はすでに15年以上ピアノを学んでいながら、ピアノという楽器でこんなことが出来るとはまったく知らず、想像したことさえなかったことに愕然とする思いでした。
学生時代に野島先生にご指導いただく機会に恵まれ、またその後私の生徒も3年間に渡って先生の教えを受けることが出来たことは大変なしあわせでした。
今日は先生のご命日で、温かくお優しかった偉大なる巨匠を思い出しています。