東京音楽大学と付属高校では、学生たちが実技試験を受けるときに、各々自分の演奏プログラムを書き、レッスン担当教員のチェックを受けて提出することになっています。普段自分の練習している曲を知ってはいても、いざ書くとなると正確に表記することは意外に難しく、試験のたびに練習を重ねていくうちに書けるようになってきます。
作曲家の名前の綴りをまちがえていないか、ソナタの楽章を抜粋する場合、楽章を書き忘れると全楽章を演奏するという意味になってしまう等々、学生は気をつけるべきことをいろいろ学びます。
ちなみに調性(例: ハ長調など)と作品番号のどちらを先に書くのかということについて、以前にコンクールの課題曲選定会議の中で、音楽評論家の
岩井宏之先生が、「調性は曲と一体のものであるから先に書かれ、作品番号はそのあとになるのです」とご説明下さったことがありました。大変わかりやすかったので、それ以来私も学生たちにそのように伝えています。
将来学校を卒業して自分でコンサートを開く、あるいは教室の発表会を行うというようなときにきちんとしたプログラムを書けるようになるための大切な学びです。